“グーグルMAPショック”の行く末は?

「自宅がいつの間に、地図から消えていた」「近所の駐車場が、何故か道路になっていた」…お使いの方はご存知かと思いますが、3月下旬以降、『グーグルマップ』で実在する建物が表示されない、標識に誤りがある等の不具合が多発し、大きな騒動となりました。

グーグルへ地図データを提供しているのは、地図情報サービスで圧倒的なシェアを誇る【9474】ゼンリンです。

グーグルでは3月6日、地図情報サービスの新たなマップを開発したと発表していました。

その矢先、同月25日にグーグルマップの表示下部から突如“(C)ZENRIN”の文字が消えたことで、「ゼンリンがグーグルに切られた」という思惑が一気に拡がった格好です。

騒動の中心にあるゼンリンですが、この企業、相当な「マニア」です。

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防災関連の分野で重宝されるゼンリンの地図情報

同社は、自治体や国などの公的機関が測量したデータを基に、毎年100億円以上もの費用を投じて、1000名規模の調査員が道路や標識を実地で確認することで、より細部の情報まで調査しています。

家屋の表札やビルのテナント名だけでなく、店舗の営業時間やコンビニのトイレの有無、更には一方通行の規制時間、車が通れないほど細い裏路地から、その奥にある階段に至るまで、徹底的に調べ上げます。

同じ建物でも「解体中の建物」「現在建設中の建物」、同じ住居でも「現在は空き家」「居住者の変更」まで特定するなど、もはやマニアックと言えるレベルの緻密さです。

あまりの正確さゆえ、同社の地図は消防センター災害対策本部など、人命にかかわる現場でも重宝されています。

「はしご車なら、この道路まで通れる」「救急車の大きさなら、ここまで入っていける」といった情報のほか、同社の地図には消火栓の場所まで記載されているため、消火活動等に取り掛かるまでの時間的なロスが極めて少ないというメリットがあります。

さて、グーグルはこれまで、デジタル地図企業に数千億円の規模に及ぶ利用料を支払い、地図データを購入して使用してきました。

しかし、ストリートビュー等の画像データから地図を自動生成する「グラウンド・トゥルース・プロジェクト」により、グーグルが自ら蓄積した情報で地図を自動生成することが、技術的に可能となりました。

技術進化と共に、収益性の向上を求める同社が、多額のデータ利用料を嫌い、自前のサービスを持ちたがるのは当然でしょう。

グーグルに「切られる」ことで、ゼンリンの業績は大打撃…と思いきや、同社は既に“次の展開”へと歩を進めています。

グーグルに切られたゼンリンの“次の展開”とは

米マイクロソフトやフェイスブック、ウーバーやテスラ、日本からは【7203】トヨタ自動車【9984】ソフトバンクグループ【6501】日立製作所らは、ユーザーが自ら地図作りを行う世界的プロジェクト「オープンストリートマップ」(通称:“地図のウィキペディア”)に参画しています。

デジタル地図やナビゲーションなどのサービスは、今後のグローバルな普及が見込まれる自動運転MaaS(移動サービス)の根底を成すため、これをグーグルに握らせないという思惑が、同プロジェクトに世界のメガ企業が集約させたと言えます。

オープンストリートマップを基盤に地図サービスを提供する企業として、急速に頭角を現したのが、米マップボックス

そして、グーグルMAPの下から「ZENRIN」の文字が消えた“ほぼ同じ時期”に、ゼンリンはマップボックスとの業務提携を発表しています。…とても、偶然とは思えないタイミングです。

独自開発の地図情報技術を元に、デジタル地図業界の覇権を不動のものとするのか、それとも、マイクロソフトやソフトバンク等がタッグを組み、グーグルと手を切ったとみられるゼンリンが参入した「対抗馬」の企業群が覇権をもぎ取るのか…。

グーグルの「勝利」と判断するのは、まだ気が早いと言えそうです。

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