インバウンドブームは終わったのか?
インバウンド関連銘柄の株価が冴えません。※インバウンド…訪日外国人旅行者。
美容家電を手がける【6630】ヤーマンの株価は2018年に28%下落しました。
今期業績は過去最高益を更新する見通しにも関わらず、株価の戻りは鈍く、今年2月までの年間騰落率はマイナスとなっています。
同じくインバウンド関連で、トレーニング機器や美容機器などを手がける【7806】MTGは、3月に上場来安値を割り込む低迷ぶりです。
訪日外国人客数は7年連続で増加しています。昨年に日本を訪れた外国人旅行者数は3119万2000人と前年比8.7%増加。
これは、JNTO(日本政府観光局)が統計を取り始めた1964年以降、過去最多となります。
お金を落としてくれる中国からの旅行者数は2018年に初めて800万人を突破し、前年比2ケタの伸びが続いています。
それなのになぜ、インバンド銘柄には買いが入らないのでしょうか?
「爆買い」を取り締まる法律が1月に施行
中国人観光客の旺盛な購買意欲を示す「爆買い」が、ユーキャン新語・流行語大賞の年間大賞に選ばれたのは2015年のこと。
1台5万円は下らない高級炊飯器を両手に持ちきれないほど買い込む中国人の映像は、ニュース番組で見ない日は無いほど、盛んに放送されました。
当時電化製品を爆買いしていた中国人の中には、観光以外の目的で来日した人が多くを占めていました。
「代理購入(代購)」と呼ばれる個人ブローカーです。彼らは本国での転売を目的に日本で電化製品の仕入れを行っていたのです。
今日では炊飯器の爆買いを目にすることはありませんが、これは中国政府が2016年4月に、関税を引き上げた事が大きく影響しています。
海外で購入した商品を中国国内に持ち込む際の関税が最大60%に引き上げられ、差益を取れなくなったため、代購が無くなったのです。
しかし今でも、化粧品や医薬品を大量に買い込む中国人の姿をよく目にします。
これらは炊飯器と違い、入国審査で見つかりにくい(隠しやすい)ため、税関に申告せずに持ち込む「密輸」が横行しているとみられています。
ただ、昨年秋ごろから、帰国時の手荷物検査が強化されたとのこと。今後は化粧品や医薬品の爆買いも下火になる可能性があります。
主戦場はリアルからネットに
爆買い終焉に追い打ちをかけるのが、中国政府による代購の締め出し政策です。
代購を行う個人ブローカーに対して、買い付け国と中国の双方において、営業許可を取得することを義務づける「電子商取引法」が2019年1月に施行されました。
申告漏れなどがあれば、代購業者には最大50万元(約810万円)の罰金が科されることに。
日本と中国双方への納税義務が生じる可能性もあり、ブローカー業は商売が成り立たなくなります。
今回の法改正は、税金逃れを防ぐことが狙いです。正規のルートを経由して輸入され、関税をきちんと収めている越境ECは伸びる可能性があります。
越境EC…ネット通販を通じた国際的な電子商取引
代購業者への規制を強化する「電子商取引法」が施行される一方、越境ECについて、1月から税制優遇策を拡大しており、ネット通販の利用を促す方針です。
海外からの輸入拠点となる「保税区」が15から37都市に拡大されたほか、一度の注文で税優遇を受けられる上限が5000元(約8万5000円)に引き上げました。
中国12億人の購買意欲が衰えることはありません。今後は、家電量販店やデパートでの爆買いがみられることは無くなるかもしれませんが、爆買いの主戦場はネット通販になることでしょう。
アリババ集団が運営する「Tmall」など、中国のネット通販で販売実績のある日本企業には、追い風となる可能性がありそうです。
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